■「今の家賃で家が買える」に要注意■
2022年09月20日
「今の家賃で家が買える」を鵜呑みにしてはいけません
不動産に関するニュースが増えると必ず出てくるのが「賃貸VS購入」ですが、当ブログでも度々記事にしていますが、多くの賃貸派の意見を押しのけて購入がお勧めというのが当社の考えです。
※もちろん状況によります。※玉虫色の意見は好まれないので、どちらかと言えば購入をお勧めします。
ただ購入派の意見をそのまま鵜呑みにできません。
最も危険なのは「今の家賃で家が買える」です。
有名企業のテレビCMのキャッチコピーでも使われるのですが、特に新築戸建ては家賃との対比で購入判断してはいけません。
同一エリア、似たようなスペックの物件を想定した場合、賃料よりも住宅ローンの返済の方が安くなって当然です。
建物を建築するコストに金融機関へ支払う利息・空室リスク・オーナーの利益などを考慮すると、住宅ローンの金利を上回る経費を賃料に乗せないと、事業として成り立たないからです。
この家賃ならこれくらいの家に住めます、と住宅業者が勧める場合、「今住んでいるエリアよりも資産価値の高いエリア」か「新築など建物代金が高い物件」のどちらかです。
エリアの場合は良いのですが、先ほど新築戸建ては要注意と記載したのは、多くの場合、建物代が高い物件を勧められるからです。
事業者に乗せられて土地の資産性をあまり気にせず、居住性重視でホイホイと物件を買ってしまうと、賃貸派がよく言う「住宅ローンを完済する頃にはボロボロでとても資産価値とは言えない」状況に陥ります。
不動産購入は立地が全てと言っても過言でないくらいで、立地を気にせず「土地代が安いから」「都市部に比べて広いから」と、郊外のエリアを選択してしまうと、貸すことも売ることも難しい資産価値のない「負動産」になってしまいます。
マンションよりも土地の価値を重要視する
マンションは大きな敷地を大人数で共有する所有形態なので、戸建てに比べると、不動産購入価格に占める土地の値段の割合が低く、あまり注目されないのですが、戸建ての資産価値では土地の値段が非常に重要となります。
不動産広告では〇〇町戸建て××××万円というように建物と土地の値段を合算した価格が表示されますが、販売価格が高いか安いか、だけでなく、気になった物件については「販売価格のうち土地代はいくらくらいなのか?」という質問を不動産会社に投げかけることも大切です。
周辺相場や最寄りの公示地価よりも高めの土地価格だった場合、何かしら事情が隠されている可能性がありますし、新築分譲住宅や不動産事業者による買取再販物件の場合は、土地(中古物件)を仕入れて再販するという事業形態から、適正な土地価格の設定でないケースもありますので、気になる物件は「土地価格はいくら」を必ず確認するようにしましょう。
もちろん、販売価格における建物価格の割合が高い物件は要注意ですよ。
セルフインスペクションWEBアプリSelFin(セルフィン)を使えば、周辺の取引事例から土地の価格を自動で算出できるので、中古戸建てを検討されている方はぜひご活用ください。
「戸建ては修繕積立金がないからお得」ではありません!
マンションを購入すると、毎月の住宅ローンの返済に加え、管理費・修繕積立金の負担があります。
これを受けて「戸建ては管理費・修繕積立金がないからお得」と考える人が少なくありません。
建築物は経年で劣化します。
その劣化のスピードを緩やかにしたり、家を長持ちさせるためには、適切なメンテナンスが必要で、そのメンテナンス費用をねん出するためには修繕積立金という考え方が合理的です。
マンションは共有物なのできちんとルール化しなければならないのですが、戸建ては「自己責任」なので毎月どこかに修繕積立金を納めなければならないわけではないのですが、ルール化されていないからと言って「修繕積立金が不要」と考えるのは間違いです。
戸建てであっても将来的に必要と思われる修繕工事を想定して、毎月将来のための修繕費を貯金しておくべきです。
また、中古住宅を購入する時には建物全体のメンテナンスを行っておくことをお勧めします。
最近は住宅ローンにリフォーム費用を組み込めるローン商品が増えていて、住宅ローンの金利に比べると、リフォームローンの金利の方がかなり高いからです。
手元にまとまった現金が残る資金計画であれば、悪くなるまで使って、傷んできたらリフォームするというのも良いのですが、現金に余裕のない方は修繕工事もローンを組む必要があるので、金利が圧倒的に低い住宅ローンに組み込めるタイミングでまとめてやっておくというのも一つの選択肢です。
戸建ての劣化防止対策として有効で、そこそこリフォーム費用がかかる工事は「屋根・外壁・バルコニーの防水対策」です。
新築でも10年~15年で塗り替えをした方が良いと言われているリフォームなので、中古住宅購入時に行っておくとしばらくの間安心して暮らすことができます。
新築であろうと中古であろうと建物の維持管理コストは必要です。
大切な我が家を自らの手で「ボロ家」にしないためにも、戸建てであってもきちんと将来の修繕費をコツコツ積み立てておく必要があります。
今回は戸建て住宅の価格をテーマにご説明いたしました。
不動産購入は「今の価格」だけでなく「将来的な価格」も不確定だからと言って無視せずきちんと検討する必要があります。
冒頭から何度も申し上げていますが「今の家賃で家が買える」は本当に危険です。
ぜひ戸建ての販売価格の内訳に目を向けてください。